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会社員と自営業者いざ年金を受け取るとどうしてこんなに差があるの?

会社員と自営業者。同じように毎月コツコツと保険料を納めてきたのに、いざ年金を受け取る段階になってみると、どうしてこんなに差があるの?――そんな疑問を抱いたことはありませんか?

「自分もちゃんと払ってきたのに、なんで会社員のほうが年金多いの?」という声は、実際に自営業をしている方からよく聞かれます。そこには、ただ「保険料の金額」だけでは語れない、年金制度そのものの構造的な違いが存在しているのです。

まず最初に押さえておきたいのは、会社員と自営業者が加入している年金制度の違いです。会社員は「厚生年金」、自営業者は「国民年金」に加入しています。この2つは、同じ“年金”という言葉を使っているものの、仕組みそのものがまったく異なります。

厚生年金は、基本の「国民年金」に上乗せする形で「報酬比例年金」が受け取れる制度です。つまり、月々の給与が高ければ高いほど、将来もらえる年金も増える仕組み。一方、自営業者が加入する国民年金は、定額の保険料を支払い、定額の基礎年金を受け取るという、とてもシンプルなものです。

ここで少し数字を見てみましょう。令和5年度の国民年金の保険料は、月額16,520円。そして、令和6年度における老齢基礎年金の満額支給額は、月額約68,000円です。つまり、どれだけ長く続けたとしても、それ以上もらえることはないのです。

一方で、厚生年金の平均支給額はというと、国民年金分も含めて月額約145,000円。これは自営業者の平均受給額である55,000円前後と比べて、実に約2.6倍の差があります。

では、なぜこのような大きな差が生まれるのでしょうか。

一つは、「収入に比例する仕組み」にあります。会社員の場合、給料が上がれば保険料も上がるけれど、そのぶん将来の年金額も増えていきます。ボーナスや昇給なども、将来の年金額に反映されるため、年収が高い人ほど、将来の生活も安定しやすくなるというわけです。

ところが、自営業者の場合、毎月の保険料は一律。どんなに努力して収入が増えても、それが年金額に反映されることはありません。事業をどれだけ頑張っても、年金制度の中では「頑張り損」になってしまうような印象さえあるのです。

また、「加入期間の安定性」も大きなポイントです。会社員は基本的に就職と同時に厚生年金に加入し、退職するまでの間、保険料は自動的に天引きされます。退職後も再就職すればそのまま継続されることが多く、空白期間が少ないのです。

しかし、自営業者は収入が不安定な分、保険料の支払いが滞るリスクも高まります。一時的に収入が途絶えれば、納付を一時的に止めることもあるでしょう。その結果、年金の納付期間が短くなってしまい、将来的に受け取れる年金額が減ってしまうのです。

さらに、厚生年金には「加給年金」と呼ばれる仕組みがあります。これは、扶養している配偶者や子どもがいる場合に、一定の条件を満たすことで年金額に加算されるというもの。まるで「家族を支える努力」も評価されるような制度になっています。一方、自営業者にはこのような仕組みが無く、扶養が多くても年金額が変わることはありません。

こうした制度の違いを知ると、「会社員ばかりが得しているように見える」と感じるかもしれません。確かに、制度設計そのものが会社勤めを前提に組み立てられている側面は否定できません。しかし、ここで大切なのは「自分の働き方に合わせた備え」をしていく視点です。

たとえば、自営業者であっても「国民年金基金」や「付加年金」、さらには「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を活用すれば、将来の年金受取額を増やすことは可能です。これらは、まさに国民年金だけでは不安だという人のための“自衛手段”として用意されている制度です。

また、現役時代にどれだけ資産形成に力を入れるか、というのも自営業者にとっては大きな鍵。会社員のように年金制度に頼るだけでなく、事業の安定や資産運用も視野に入れたライフプランを立てることが求められます。

年金というのは、単なる「老後の生活費」ではありません。長い人生を支える、安心の土台です。そこにどれだけ積み上げてきたか、そして今からでもどう積み増せるか――それを真剣に考えることが、将来の自分を助けることに繋がっていきます。

同じように働き、同じように保険料を支払ってきた。それでも年金の差が生まれる現実に、どこか腑に落ちない思いを抱くこともあるでしょう。ただし、その違いには明確な理由があること、そして、知ってさえいれば、対策も打てるという事実を、忘れないでいたいものです。

「自営業だから仕方ない」と諦めてしまうのではなく、「自営業だからこそ、自分で将来を守る力がある」と前向きに捉えて、今できる一歩を踏み出していきましょう。未来の安心は、今の選択の積み重ねによって築かれるのですから。

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