「先月の案件がキャンセルになって、家賃の支払いが厳しい…」
フリーランスとして活動していると、こんな不安と隣り合わせの日々を過ごしている方も多いのではないでしょうか。収入の波があるのはフリーランスの宿命とはいえ、時にはその波が津波のように押し寄せることもあります。
そんなとき、あなたを支えてくれる可能性があるのが「給付金」という存在です。「給付金なんて自分には関係ない」と思っていませんか?実は、フリーランスだからこそ活用できる支援制度が、国や自治体にはたくさん用意されているんです。
今回は、フリーランス歴10年の私が実際に申請経験のある給付金や、フリーランスの仲間たちから聞いた生の声をもとに、あなたの事業継続を支える給付金について詳しくご紹介します。
国によるフリーランス向け給付金の実力
まず押さえておきたいのが、国が実施するフリーランス向けの給付金制度です。過去には「持続化給付金」という大型支援制度がありました。この制度は、事業収入が前年比で50%以上減少したフリーランスや個人事業主を対象に、最大100万円を給付するという破格の内容でした。
「申請なんて面倒くさそう…」と二の足を踏む方も多いかもしれませんが、実際に申請したデザイナーの田中さん(仮名・30代)はこう語ります。
「コロナで案件が急になくなって、正直、仕事を続けられるか不安でした。持続化給付金を申請するため、確定申告書や銀行通帳の写しを提出しました。書類準備は大変でしたが、申請から約1ヶ月後に50万円が振り込まれたときはほんとうに救われた気持ちでした。この資金で家賃や新しいデザインソフトの費用に充てることができて、事業を続ける勇気をもらえました」
50万円あれば、フリーランスの多くの方は2〜3ヶ月の生活費を確保できるはずです。こういった制度を知らずに廃業を選んでしまうのは、あまりにももったいないことですよね。
ただし、国の給付金には申請期間が限られていたり、必要書類が多かったりするデメリットもあります。日頃から確定申告をきちんと行い、収入や支出の記録を残しておくことが、いざというときの申請をスムーズにするコツです。
「でも、国の給付金って特別な状況でしか実施されないんでしょ?」
そう思うかもしれません。確かに持続化給付金のような大規模なものは特別な状況下での実施ですが、実は平時から利用できる支援制度もあるんです。
地域に根ざした自治体独自の支援金
国の制度に比べて見落としがちなのが、自治体独自の支援金です。東京都や大阪府をはじめ、多くの自治体がフリーランス向けの独自支援を行っていることをご存知でしょうか?
例えば、特定の業種(飲食業、イベント業など)を対象にした支援金や、地域経済活性化を目的とした助成金など、その内容は多岐にわたります。条件としては、住民税や国民保険料を納めていることが多いですが、自治体によって異なります。
神奈川県在住のカメラマン、佐藤さん(40代)の体験は示唆に富んでいます。
「東京都の『営業支援給付金』で30万円を受給しました。申請書類と売上台帳を提出し、驚くことに2週間ほどで承認されたんです。国の給付金より手続きが簡単で、審査も早かった印象があります。ただ、自治体の給付金は締切が早いことが多いので要注意です。私の知り合いは情報を知ったときには既に締め切られていて申請できなかったと嘆いていました」
佐藤さんの指摘するように、自治体の支援金は申請期間が短いことがあります。ときには数日で締め切られてしまうこともあるので、日頃から自治体のウェブサイトやSNS、メールマガジンなどをチェックしておくことをおすすめします。
あなたはお住まいの自治体がどのような支援制度を用意しているか、調べたことはありますか?意外と知らないだけで、あなたが条件を満たす支援金が眠っているかもしれませんよ。
キャリアアップにつながる訓練給付金という選択肢
「給付金」というと一時的な支援というイメージがありますが、未来への投資にもなる給付金もあります。それが「職業訓練受講給付金」です。
この制度は、ハローワークに求職申込をし、スキルアップのための講座を受講することで月10万円程度の給付金を受け取れるというもの。フリーランスとしてのキャリアに不安を感じているなら、新たなスキル習得と生活支援を同時に受けられる絶好の機会といえるでしょう。
20代のライター、山田さんはこの制度を活用した一人です。
「仕事が減ってきて、このままライターとしてやっていけるか不安だったんです。そんなとき友人からこの制度のことを聞きました。Webデザインの講座を受講することにして、受講中は月10万円の給付金を受け取りました。収入がなくなる不安がありましたが、新しいスキルを身につけながら生活も支えられるので、精神的にもすごく助かりましたね。いまではライティングとデザインの両方のスキルを活かした仕事ができています」
フリーランスの最大の武器は柔軟性。スキルの幅を広げることで、仕事の幅も広がります。給付金を活用しながらスキルアップできれば、それは単なる「支援」ではなく「投資」といえるでしょう。
あなたも今の専門分野に加えて、新たなスキルを身につけたいと思ったことはありませんか?この制度を利用すれば、収入の心配をせずに学びに集中できるかもしれません。
危機に対応する特別支援制度
社会的危機に際しては、通常とは異なる特別な支援制度が実施されることもあります。過去の例では「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金」がありました。
これは業務委託契約の中止で収入が減少した、雇用されていないフリーランスを対象とした制度です。イベント業界や観光業界など、特定の業種で働くフリーランスにとって大きな助けとなりました。
イベントプランナーの鈴木さん(30代)は、この支援金について次のように振り返ります。
「イベント業界の仕事が全滅して、どうしようかと途方に暮れていたとき、この制度を知りました。休業支援金で月額約33万円を受給できたことで、何とか踏みとどまることができました。ただ、クライアントからの休業証明書が必要で、取得に苦労しました。大手企業は対応してくれましたが、小さな会社は『そんな制度知らない』と言われることもありました」
特別支援制度は、その性質上、突然発表されることが多いです。日頃から情報収集のアンテナを張っておくことが重要です。業界団体やフリーランス協会などに所属していると、こうした情報をいち早くキャッチできる可能性が高まります。
申請時によくあるつまずきポイント
給付金があると知っても、申請過程でつまずいてしまう方は少なくありません。よくある問題点を先に知っておけば、スムーズに申請できるでしょう。
まず多いのが「書類の不備」です。確定申告書や収入証明の不足で却下されるケースが非常に多いと言われています。特に、フリーランスの場合、収入証明が難しいことがありますよね。請求書や入金記録など、日頃から整理しておくことをおすすめします。
次に「申請期間の短さ」です。先ほども触れましたが、特に自治体の給付金は数日で締め切られることもあります。情報を得たらすぐに動く習慣をつけましょう。
また「収入基準」も要注意です。「前年比50%減」など、条件を満たす証明が難しい場合もあります。月単位、年単位など、どの期間で比較するのかもよく確認しましょう。
フリーランスカメラマンの高橋さんは苦い経験を語ってくれました。
「ある給付金に申請したのですが、『前年同月比で売上が50%以上減少していること』という条件がありました。私の場合、8月は元々仕事が少ない月で、たまたま前年は大きな案件があったんです。だから減少率は確かに50%以上でした。でも審査では『通常の季節変動ではないか』と指摘され、追加資料の提出を求められました。最終的には受給できましたが、予想以上に時間がかかりました」
こうした事態を避けるためにも、申請前に条件をよく読み、自分が確実に該当するかを確認することが大切です。迷った場合は、自治体の相談窓口や税理士に相談するのも一つの手です。
フリーランスが今すぐ始めるべき対策
「給付金は、必要になってから考えればいい」
そう思っていませんか?実は、給付金を受け取るための準備は、平時から行っておくべきものなのです。今からでも始められる対策をご紹介します。
まず最も重要なのが「日頃から帳簿をつけること」です。収入と支出を記録しておくことで、給付金申請時に収入減を証明しやすくなります。専用のアプリやソフトウェアを使えば、さほど手間ではありません。
次に「自治体の情報をこまめにチェックする」ことです。自治体のウェブサイト、SNS、メールマガジンなどを定期的にチェックしましょう。時には地域の商工会議所や業界団体なども有用な情報源となります。
そして「専門家のネットワークを持つ」ことも重要です。税理士や社労士、フリーランスの支援団体に相談できる関係を持っておくと、複雑な条件でも適切なアドバイスが得られて安心です。
IT系フリーランスの小林さんは、こう語ります。
「私は月5,000円払って、フリーランス向けのコミュニティに入っています。そこでは税理士の方が定期的に相談会を開いてくれるんです。給付金の情報もメンバー同士で共有されるので、申請書の書き方なども教えてもらえました。お金はかかりますが、一人で調べるより確実に情報を得られるので、十分元が取れていると思います」
小林さんのように、情報収集のためのコミュニティに参加するのも一つの方法です。最近ではオンラインコミュニティも充実しているので、自分に合ったものを探してみるといいでしょう。
フリーランスの安全網を広げるために
ここまで様々な給付金や支援制度についてご紹介してきました。しかし、これらは「万が一のため」の安全網であって、ビジネスの基盤そのものではありません。
フリーランスとして長く活躍するためには、給付金に頼らなくても済むような事業基盤を作ることが理想的です。複数の収入源を持つこと、緊急時のための貯蓄をすること、そして常にスキルアップを意識することが大切です。
とはいえ、どんなに準備していても予期せぬ事態は起こるもの。そんなときに、今回ご紹介した給付金制度が、あなたの事業継続を支える力になってくれたら嬉しいです。
最後に、私自身の経験からひとつアドバイスを。給付金の申請は「恥ずかしいこと」でも「甘えること」でもありません。それは、納税者であるフリーランスに対する正当な支援なのです。必要なときには、積極的に活用する姿勢を持ちましょう。
あなたのフリーランスとしての道のりが、どうか実り多きものでありますように。そして、この記事があなたのセーフティネットを広げるきっかけになれば幸いです。
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