春が近づくと、街のあちこちで「確定申告」の二文字が目につく季節。サラリーマン時代は年末調整で済んでいたけれど、年金生活になったら自分で確定申告をしなきゃいけないの?そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
先日、80歳になる父から電話がありました。「今年も確定申告の時期だけど、年金だけだから申告しなくていいんだよね?」と。実は、このような質問は年金受給者の間でとても多いんです。年金と税金の関係は、意外と知られていない部分が多く、損をしている方も少なくありません。
この記事では、年金受給者が知っておくべき確定申告の基本から、お得な控除活用法まで、わかりやすくお伝えします。ぜひ最後まで読んで、ご自身の状況に当てはめてみてくださいね。
年金受給者と確定申告:基本のキ
まず押さえておきたいのが、公的年金(国民年金や厚生年金など)と確定申告の基本的な関係です。
公的年金を受け取るとき、実は既に所得税が「源泉徴収」という形で天引きされています。給与所得者の月々の給料から税金が引かれるのと同じような仕組みですね。年金には「公的年金等控除」という専用の控除があり、この控除を適用した上で所得税が計算されています。
でも、なぜ年金受給者の中には確定申告が必要な人と不要な人がいるのでしょうか?
確定申告が不要なケース:ほとんどの年金受給者はここに該当
実は、多くの年金受給者は確定申告をする必要がありません。これを「確定申告不要制度」と言います。具体的には、次の条件を両方満たす場合です。
- 公的年金などの収入金額の合計が400万円以下
- 公的年金以外の所得が20万円以下
たとえば、年金だけで生活していて、その年金収入が400万円以下なら、基本的に確定申告は不要です。ご近所の佐藤さんは「毎年、日本年金機構から源泉徴収票が送られてくるけど、年金だけだから申告はしていないわよ」と話していました。多くの方がこのパターンではないでしょうか。
確定申告が必要になるのはどんなとき?
ところが、以下のような場合は確定申告が必要になります。
- 年金収入が400万円を超える場合
- 年金以外に20万円を超える所得がある場合(アパート収入、原稿料、講演料など)
- 複数の年金を受け取っていて、一定の条件に当てはまる場合
- 外国の年金を受け取っている場合
私の叔父は退職後も非常勤講師として大学で教えていました。「年金だけなら申告不要と聞いていたので安心していたけど、講師料が年間30万円ほどあって、税務署から『申告が必要です』と連絡が来たんだよ」と話していました。年金以外の所得が20万円を超えると、確定申告が必要になるのです。
また、複数の年金を受け取っているケースも要注意です。夫の厚生年金と自分の国民年金、あるいは複数の企業年金を受け取っている場合などは、確定申告が必要になることがあります。
とくに配偶者を亡くされた方は、自分の年金に加えて遺族年金を受け取ることになり、複数の年金を受給するケースが多いので注意が必要です。「主人が亡くなって遺族年金も受けるようになったけど、申告が必要だとは知らなかった」という声もよく聞きます。
確定申告をすると得をするケース:還付申告のススメ
ここからが実は一番大事なポイントです。確定申告が義務ではなくても、あえて申告することで税金が戻ってくる(還付される)場合があるんです。これを「還付申告」と言います。
年金からの源泉徴収では、以下のような控除が考慮されていないため、申告するとお得になることが多いのです。
1. 医療費控除
年間10万円以上(または所得の5%以上)の医療費を支払った場合、医療費控除を受けられます。年金生活者は通院や薬代などの医療費がかさむことも多いですよね。
私の母は昨年、白内障の手術をして医療費が15万円ほどかかりました。「年金だけだから申告しなくていいと思っていたけど、医療費控除で申告したら3万円近く還付されたわ」と喜んでいました。高額な医療費を支払った年は、必ず医療費控除の可能性を検討してみましょう。
2. 生命保険料控除・地震保険料控除
生命保険や地震保険に加入している方も多いと思います。これらの保険料も控除の対象になりますが、年金からの源泉徴収では反映されていません。
隣のおじいちゃんは「年金生活になっても昔からの生命保険は続けているけど、申告してないなぁ」とおっしゃっていました。実は損をしているかもしれませんね。
3. 寄付金控除(ふるさと納税など)
最近人気のふるさと納税も寄付金控除の対象です。年金受給者でもふるさと納税を活用している方は多いですが、確定申告をしないと税額控除を受けられません(ワンストップ特例制度を利用している場合を除く)。
「返礼品が魅力的で毎年ふるさと納税しているけど、申告していなかった」という方、損をしているかもしれません。ただし、所得税がそもそもあまり課税されていない方は、控除を受けても還付金額は少ないかもしれません。
4. 障害者控除・社会保険料控除など
障害者手帳をお持ちの方は障害者控除が、国民健康保険料などを支払っている方は社会保険料控除が受けられます。これらも年金からの源泉徴収では考慮されていないため、申告することでお得になる可能性があります。
確定申告の具体的な手順:意外と簡単です
「確定申告は難しそう」と二の足を踏む方も多いですが、実は手順は意外と簡単です。
- 必要書類を集める(源泉徴収票、医療費の領収書、保険料の控除証明書など)
- 確定申告書を作成する(税務署での相談会や、国税庁のホームページ「確定申告書等作成コーナー」を利用するのがおすすめ)
- 申告書を提出する(郵送、e-Tax、税務署への持参など)
「長蛇の列に並ぶのは大変」という声もよく聞きますが、最近は時間指定の予約制を導入している税務署も増えています。また、郵送やe-Taxなら、窓口に行く必要もありません。
特に高齢の方には、各地域で開催される「税務署の出張相談会」がおすすめです。親切に教えてくれますよ。
実際の体験:年金受給者の確定申告エピソード
京都に住む鈴木さん(72歳)は、退職後も趣味の絵を描いて時々販売しています。「最初は年金だけだから申告不要と思っていたんだけど、絵の売上が年間30万円近くになってきて。税務署から『所得が20万円を超えているので申告が必要です』と言われて慌てて申告したよ。年金だけなら不要でも、ちょっとでも副収入があると変わるんだね」と話していました。
また、東京の田中さん(68歳)は「長年確定申告不要だと思っていたけど、去年は大きな病気をして手術費用がかさんだから、医療費控除で申告してみたの。書類を揃えるのは少し大変だったけど、税務署の相談窓口で丁寧に教えてもらって無事に申告できたわ。結果的に5万円近く還付されて、思いがけない臨時収入になったわよ」と喜んでいました。
私自身も親の確定申告を手伝った経験があります。最初は複雑に感じましたが、一度やってみると意外と簡単でした。分からないことがあれば、税務署の相談窓口で聞いてみるのがいちばんです。電話相談センターもありますよ。
さいごに:損をしないための年金と税金の付き合い方
年金と税金の関係は、一見複雑に思えますが、基本を押さえておけば難しくありません。ポイントは以下の3つです。
- 年金だけで400万円以下なら、原則として確定申告は不要
- 年金以外の所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要
- 医療費控除や保険料控除などを受けたい場合は、確定申告が有利になることが多い
「税金のことなんて分からない」と諦めず、自分の状況に当てはめて考えてみましょう。少しの知識と行動で、数万円の違いが生まれることもあります。生活に余裕が生まれれば、趣味や旅行など、人生を豊かにする時間に使えますね。
確定申告の時期、あなたはどうしますか?少しでも迷いがあれば、一度税務署に相談してみることをおすすめします。思わぬ還付金が戻ってくるかもしれませんよ。
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