「年金を受け取っているけど、もう少し収入があれば安心なのに」
「引退してから家にこもりがちで、ちょっと社会との繋がりが恋しい」
「働けるうちは、無理のない範囲で体を動かしていたい」
そんなふうに思ったこと、ありませんか?
実は今、多くの年金受給者が、年金を受け取りながらアルバイトやパートなど、何らかの形で働いています。そしてその背景には、単なる「お金のため」だけではない、もっと深い理由があるのです。
けれど、働くことによって年金が減ってしまうのでは?と不安に思う方も少なくありません。特に「在職老齢年金制度」と呼ばれる仕組みがあるため、年金の種類や収入の額によっては、実際に支給額が調整(つまり減額や停止)されるケースもあります。
だからこそ今回は、「年金をもらいながら働く」というテーマを、制度の仕組みから体験談、そして心の面まで掘り下げて、ひとつの“生き方”として丁寧に紐解いていきたいと思います。
この記事を読み終えた頃には、「働くかどうか」という悩みではなく、「どう働こうか」と前向きに考えられるようになっているかもしれません。
年金をもらいながら働くのはOK?結論:もちろん可能!
まず最初に結論を言うと、年金を受給しながら働くこと自体はまったく問題ありません。法律で禁止されているわけでもなく、むしろ国としても「働ける高齢者はどんどん働いてください」というスタンスにシフトしてきています。
とはいえ、すべての年金受給者が“無条件で働ける”というわけではありません。実際には「もらっている年金の種類」によって、働くことで年金額に影響が出るかどうかが変わってきます。
老齢基礎年金の場合は安心して働ける
例えば、自営業や専業主婦だった方など、国民年金(基礎年金)のみを受け取っている場合。これは原則として、働いても年金額が減額されることはありません。つまり、アルバイトでもパートでも、安心して自分のペースで働けるというわけです。
一方で、会社勤めをしていた方が受け取る「老齢厚生年金」は、少しだけ注意が必要です。
在職老齢年金制度──収入次第で年金が減る?
「在職老齢年金制度」──初めて聞くと、ちょっと身構えてしまうような言葉ですよね。でも、仕組みはそれほど難しくありません。
要するに、「年金+働いて得た収入の合計がある基準額を超えると、その分年金を減らしますよ」という制度です。
2025年5月現在、その基準額は月50万円です。
つまり、年金と働いて得る月収の合計が50万円を超えた分、その半分が年金から差し引かれるというわけです。
たとえば、老齢厚生年金が月15万円、働いて得る収入が月40万円だったとしましょう。この場合、合計で55万円。基準の50万円を5万円超えているので、その半分の2万5千円が年金から差し引かれます。
この制度は、60歳以上で老齢厚生年金を受け取りつつ、厚生年金保険の適用事業所(要は会社など)で働いている人が対象になります。アルバイトやパートでも、勤務時間や条件によっては厚生年金に加入することになり、この制度の対象になることがあります。
「年金が減るのは損じゃないの?」
ここでよく聞かれるのが、「働いたら年金が減るって、なんか損した気分になるなぁ」という声。でも、本当にそうでしょうか?
たとえば、先ほどの例で言えば、働いたことで40万円の収入があり、そのうち2万5千円分の年金が減ったとしても、手取り全体では37万5千円+12万5千円(減額後の年金)=50万円になるわけです。
つまり、働くことで年金が少し減ったとしても、総収入が増えていれば、生活が豊かになるのは間違いありません。
「だったら、年金が減ること自体はあまり気にしなくてもいいのでは?」と思えるかもしれませんね。
ちょっとした生活のゆとりを生む──現場の声
ここで、実際に年金を受け取りながら働いている方たちのリアルな声をいくつかご紹介しましょう。
「夫婦で年金生活していますが、私は週3日、近くのスーパーでレジのアルバイトをしています。月に10万円くらいの収入だけど、これがあるだけで、外食も気軽に行けるし、孫にちょっとしたプレゼントも買える。家にこもっているよりも、気持ちも明るくなりました。」
「再雇用で元の職場に戻っています。年金は減るけど、給料の方が多いから総収入は増えています。仕事の内容も、自分の経験を活かせるから楽しいし、職場の若い子たちと話すのも刺激になりますよ。」
このように、「働くこと」は単なる収入のためだけでなく、心の安定、体力の維持、人との繋がりといった、さまざまなプラスの影響をもたらしています。
制度を味方にするために、年金事務所を上手に使おう
とはいえ、「計算が難しそう」「自分のケースがどうなのかよく分からない」という方も多いはず。
そんなときは、迷わず年金事務所に相談してみましょう。事前に「アルバイトを週何日くらい入る予定」「時給はいくらくらい」など、ざっくりとした見込みが分かっていれば、具体的にどのくらい年金が減る可能性があるか、シミュレーションしてもらえます。
制度は変わる。だから「最新情報」にも敏感でいたい
在職老齢年金制度の「基準額」は過去にも変更されており、今後も法律の改正によって見直される可能性があります。
たとえば、以前は60歳代前半と65歳以降で基準額が異なっていましたが、現在は65歳以上に統一されています。これは「働く高齢者を応援する」という社会的な流れを反映したもの。時代は確実に、「年をとっても現役」を後押ししてくれる方向に動いています。
まとめ:年金と仕事──そのバランスを、あなたらしく選ぼう
いま、「年金をもらいながら働く」という生き方が、ひとつのスタンダードになりつつあります。お金のためというよりも、生活のハリ、健康維持、社会との繋がり──そんな要素を求めて、あえて働くことを選ぶ人が増えているのです。
もちろん、収入によっては年金が減額されることもあります。でも、それを「損」ととらえるか「可能性」ととらえるかは、考え方次第です。
まずは、自分の年金の種類を確認し、収入の見込みを立てる。そして不安があれば、年金事務所に相談する。そうして一歩ずつ、自分らしい働き方を模索していくことが何より大切です。
あなたの人生は、まだまだこれから。
年金を受け取りながら働くという選択肢が、あなたの毎日をより豊かに、そして笑顔あふれるものにしてくれることを、心から願っています。
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